Dear Mr. Woodrow Sonship Theus Jr.
しばらく前、ドラマーSonship氏が2011年3月18日に亡くなったとの記事をネットで見つけた。
実に残念。
Sonship氏は、大好きな、特別なドラマーの一人なので、やはり書いておかなければいけない。
知名度は高くなく、あまり語られていないが、抜群のセンスを持った偉大なドラマーだ。
何つったってスピード感があって、自由奔放でアグレッシブ。シャープで閃きにあふれ、熱くてクール。
アフロなサウンドだが粘っこくはない。ウェザーリポートのドラマー候補になったこともあるようだ。
Sonshipを知ったのは、1976年11月。
当時NYで活動していた菊地雅章・日野皓正両氏の双頭コンボ「東風」の帰国コンサートのメンバーとして来日した。
来日時の年齢は24歳。
「東風」は、当時、「今ジャズは日本から世界へ」のキャッチフレーズの「EAST WIND」レーベルから「ウィッシズ(1976.5月録音)」というアルバムをリリースし旗揚げ声明してから、ツアーを行う形をとった。
レコーディングのメンバーと来日時の演奏メンバーとは異なっている。
レコーディング後、ツアーを行うためのメンバーを探していたが、最終決定できずにいた。
そんな時、LAにいたSonshipがNYへ呼ばれ、オーディションをして即決したとのことだ。
私は、東風の演奏を日本公演の初日、中野サンプラザで観た。
時代の先端を走るひとつのジャズがあった。
16ビート系のリズムなどがバックボーン。
理想と思える最高のドラミングを目の当たりにし、私は興奮した。
演奏終了後、Sonshipはステージの袖にハケずに残っていた。ドラムセットを片付け始めようとしていたように記憶している。
数人の観客がステージ下に行った。Sonshipは観客席側へ寄り、彼らと軽く会話を交わした。
私もステージ下に行った。
「素晴らしい演奏でした。」と言ってプログラムにサインを求めた。
彼は快く応じ、私に名前を尋ねた。
その時の彼の、真っ直ぐな眼差しが忘れられない。
プログラムに、私の名と「God loves you very much」そして、彼の名が記された。
礼を言い、握手した。
彼は黒人だが、比較的小さな体格で、むしろ華奢といってよいくらいだった。
彼の手首は、痩せている私の細い手首と殆ど変わらないほどだった。
そうか、細い腕でもあんなにすごいドラムが叩けるのだ、と私は勇気づけられた。
Sonshipは私にとって特別なドラマーになった。
(ちなみにその後のことだが、アート・ブレイキー氏と握手したことがある。彼は背は高くないが、その手はグローブのように肉厚で大きく、私の手は包み込まれるようだった。)
「東風」のコンサートのプログラムに記載されたSonshipの紹介文を引用させていただく。「SUNSHIP」は「SONSHIP」の誤植と思われる。
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WOODRAW SUNSHIP THEUS Jr.(drums):
1952年6月2日生れ。ロサンゼルスで13才の頃から演奏を開始した。1969年から翌年にかけてジョン・クレマー、70年から74年にかけてチャールス・ロイドと演奏。以後、ジョーヘンダーソン、ウディ・ショー、ボビー・ハッチャーソン、フレディ・ハバード、ハービー・ハンコック、エディ・ヘンダーソン、マッコイ・タイナーなどそうそうたるプレイヤーと演奏を共にしている。ベースのオースティンと同じく日本ではまったく無名ながら、最も将来が期待されている若手ドラマーのひとり。
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Sonshipの演奏は、マッコイ・タイナーのGREETING、チャールス・ロイド、ウディ・ショーほかのアルバムで聴くことができる。
ジョン・マクラグリンと共演していたことを最近知った!
17枚組のボックスセット「John Mclaughlin Montreux Concerts」の
Disc 6 JOHN MCLAUGHLIN BAND に収録されているようだ。
July 19, 1978
John McLaughlin (g)
L. Shankar (vln)
Stu Goldberg (kbds)
W. "Sonship" Theus (dr)
Tom Stevens (b)
レコードによってクレジット名は、Woody Theus だったり、統一されていない。
YOUTUBEでもいくつかの映像を見ることができる。
これで、私の大好きなジャズドラマーTony Williams、日野元彦、Sonshipの各氏は、みな天に召されてしまったことになる。今年の1月12日には、古沢良治郎氏も天に召された。
どんどん寂しくなるが、人はこの世に生を受けた以上、死を免れることはできない。その点はみな同じ。
早いか遅いかがあるだけ。少しそう思えるようになってきた。
Sonship氏のご冥福を心からお祈りします。
Sonship氏はこれからもずっと私にとって特別のドラマーであり続ける。
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Tony Williams、日野元彦、Sonship…人の世は儚いですね。
音楽は音源が残せるとはいえ、やはりその場でナマで体験し時間と共に消えていくからこそ時間芸術としての価値があるとも言えます。
人の世と同様に儚いものかもしれません。
私は好きなギタリストはすべて他界したあとに知った人たちでした
投稿: T.ROSSA | 2012年1月 5日 (木) 14時00分
T.ROSSAさん コメントどうもありがとうございます。
ほんと人の世は儚いものですね。
音楽も、仰るとおり、その場で出た音は消えていき、掴むことはできず、儚いものかもしれません。
なんだか、すべてが儚いです(笑)。
この世にいる限り、儚さとともいることになるのでしょうか。
ただ、はかなく消えゆくその時の中で喜びも生まれますよね。
音源として残る音楽によっても、人は力をもらえますしね。
カタチのないものによって勇気づけられること、癒されること、沢山ありますよね。
投稿: キンタポン | 2012年1月 5日 (木) 15時36分